「安倍元首相のお粗末な共産党攻撃」 6月6日しんぶん赤旗

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安倍元首相のお粗末な共産党攻撃

破綻した漫罵を繰り返す

 安倍晋三元首相は4日、京都市内で演説し、日本共産党の志位和夫委員長を名指しで攻撃しました。

 安倍氏は、「国を守るために命をかける自衛隊が憲法違反のままでいいはずがない」と自衛隊を憲法9条に明記する改定を主張したうえで、「共産党の志位さんですら、海外から侵略を受けた際には自衛隊員には頑張ってもらう(といっている)。なんですかこれは。(自衛隊を)憲法違反と言いながら、いざという時には守ってもらおうという。こんないいかげんな政党に、これどうなのと、京都のみなさんに奮起してもらいたい」などと述べました。

民主的政権が自衛隊を活用するのは「矛盾」でも何でもない

 急迫不正の侵害に対し「違憲」の自衛隊を出動させるのは「いいかげん」=「矛盾」だという攻撃ですが、日本共産党が参加する民主的政権が、万が一の時に自衛隊を活用することは「矛盾」でも何でもないことです。そのことを志位氏は新著『ウクライナ侵略と日本共産党の安全保障論』で次のように解明しています。

 「日本共産党としては、一貫して『自衛隊=違憲』論の立場を貫きますが、党が参加する民主的政権の対応としては、自衛隊と共存する時期は、理の必然として、『自衛隊=合憲』の立場をとり、国民多数の合意なしに合憲から違憲への憲法解釈の変更は行わない――これが民主的政権に参加するにあたってのわが党の立場です。『憲法違反の自衛隊を活用するというのは矛盾している』という議論がありますが、自衛隊を活用するのは、いうまでもなく民主的政権です。民主的政権としての憲法判断が『自衛隊=合憲』である以上、その政権が自衛隊を活用することに、憲法上、何の矛盾もありません」

 日本共産党としては「自衛隊=違憲」の立場を貫き、憲法9条と自衛隊との矛盾を、憲法9条の完全実施に向けて国民合意で一歩一歩解消していくために力をつくします。その過程で万が一のことが起こったら、国民の命を守るために、自衛隊を含めてその時点で存在するあらゆる手段を行使することは、政治の責務としてあまりにも当然のことです。

 そのさい、党が参加する民主的政権が自衛隊に対してどういう憲法判断を行うかは、党としての憲法判断とは別個の問題であり、志位氏が述べているように、民主的政権が自衛隊を活用することに、憲法上、何の矛盾もないし、「いいかげん」という漫罵は通用するものではありません。

5年前の党首討論で決着済みの問題

 このことは、すでに2017年総選挙のさいの党首討論(10月7日)で、安倍首相(当時)の攻撃に反論する形で志位氏がはっきり述べていることです。

 このとき安倍氏は「政権をとって志位さんが総理大臣になって、私が質問して自衛隊は合憲ですかと聞いて、志位さんが『違憲だ』と言った瞬間に自衛隊法は違憲立法になってしまう…その中でもし侵略を受けたときどうするんですか」と質問しました。

 これに対し志位氏は「日本共産党としては、自衛隊は違憲という立場ですが、日本共産党が参加する政府ができた場合に、その政府としての憲法解釈はただちに違憲とすることはできません。しばらくの間、合憲という解釈が続くことになります。これは、国民多数の合意が成熟して9条の完全実施に向かおうとなったところで初めて政府としては憲法解釈を変えて違憲にすると。それまでは合憲ということになります」と反論しています。民主的政権が「自衛隊=合憲」論をとることを明言し、その政権が自衛隊を活用することに何の矛盾もないことを明らかにしています。

 志位氏の反論に答えられなくなった安倍氏は「無責任」と漫罵をいうしかありませんでした。詳細は志位氏の新著『新・綱領教室 下』に詳しく示されています。

 この論争のさいに、志位氏が安倍氏に対して述べた最後の言葉を紹介しておきたいと思います。

 「安倍さんから『無責任だ』と言われたけど、私はその言葉を返したいと思いますよ。憲法違反の安保法制をつくって、海外で命を張れということの方が、よっぽど無責任だと思いますよ」

 安倍氏は、5年前の党首討論で決着済みの破綻した漫罵を、繰り返しているだけなのです。元首相として、あまりにお粗末というほかありません。

9条改憲の危険性――「戦争する国」づくりを自由勝手に進める

 安倍氏は、憲法9条に自衛隊を明記することの意味を、「憲法違反という議論に終止符を打つ」ためだと説明していますが、その危険性は、そんなところにあるのではありません。

 いま安倍氏があおりたて、自民党が進めようという道は、「敵基地攻撃能力=反撃能力」を保有し、「専守防衛」をかなぐりすてるというものです。日本が攻撃されていないのに、米軍が軍事行動を始めたら、安保法制=集団的自衛権を発動して、自衛隊が米軍と一体になって相手国に「敵基地攻撃能力」を使って攻め込む。その結果、日本に戦火を呼び込む。これこそが、日本が直面している最大の危険です。

 こうした「戦争する国」づくりの道を、何の制約もなく自由勝手に進める――ここに憲法9条改憲の最大の狙いがあります。

山のような疑惑に口をつぐんだまま内政・外交を語る資格なし

 やれ「核共有」だ、「反撃能力」だ、「9条改定」だと、“自民党のドン”を気取って、内政・外交のあれこれに口出しする前に、安倍氏には国民に説明すべきことが山のようにあるはずです。

 「しんぶん赤旗」日曜版が突き付けた「桜を見る会」をめぐる新たな疑惑に、どう答えるのかもその一つです。国会での数えきれない虚偽答弁、数々の疑惑、そのすべてに口をつぐんだまま、内政・外交の大問題を語る資格は、安倍氏にはありません。(中祖寅一)

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