【声明】「戦争国家」づくりを許さず、9条を生かした平和外交こそ――憲法施行76周年にあたって 日本共産党 志位和夫

【声明】「戦争国家」づくりを許さず、9条を生かした平和外交こそ――憲法施行76周年にあたって 日本共産党 志位和夫

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日本共産党は憲法記念日の5月3日、次の声明を発表しました。

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「戦争国家」づくりを許さず、9条を生かした平和外交こそ――憲法施行76周年にあたって

2023年5月3日  日本共産党幹部会委員長  志位和夫

(1)

 私たちは、今年の憲法記念日を、「戦争か、平和か」がかつてなく鋭く問われる歴史的岐路のもとで迎えている。

 岸田政権が進めている敵基地攻撃能力保有と大軍拡は、歴代政権が建前としてきた「防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく」という「専守防衛」の大原則を投げ捨て、「他国に攻撃的脅威を与える兵器の保有は憲法の趣旨ではない」とする憲法解釈を180度転換する、二重、三重に憲法に違反する歴史的暴挙である。

 この暴挙が、2015年に強行された集団的自衛権行使を可能とする安保法制のもとで進められていることは、とりわけ重大である。敵基地攻撃能力保有は、米国が主導する「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)に参加することを重要な目的の一つにしているが、米国が明らかにしているIAMDの基本原則には「先制攻撃」が明記されている。日本が武力攻撃を受けていなくても、米国が先制攻撃の戦争に踏み出したさいに、米軍と融合する形で一体化した自衛隊が敵基地攻撃能力を使って相手国に攻め込む。これこそが現実の危険である。

 その結果は何か。報復攻撃による国土の焦土化である。いま進められている大軍拡が、「日本を守る」ものでなく、日本全土を戦場化する危険をもたらすものであることは、すでにそれを想定して全国300カ所の自衛隊基地を核攻撃にも耐えられるように「強靭化」する計画が進められている事実が証明している。

 日本共産党は、日本国憲法を幾重にも踏みにじり、日本を「戦争国家」につくりかえようとする歴史的暴挙に真正面から反対し、多くの国民と手を携えてこのたくらみを阻止するために全力をあげる。

(2)

 史上空前の大軍拡は、憲法9条に違反するだけでなく、日本国憲法が保障した民主主義と基本的人権の全面的侵害・蹂躙につながることを、厳しく指摘しなければならない。

 5年間で43兆円もの大軍拡が、社会保障や教育予算などを深刻な形で圧迫し、大増税をもたらすことは必至である。それは憲法13条が保障した個人の尊厳と幸福追求権、憲法25条が保障した生存権、憲法26条が保障した教育権などの侵害をもたらす。戦争に科学や産業を動員することは、憲法19条が保障した思想及び良心の自由、憲法23条が保障した学問の自由を圧殺することにつながる。「戦争国家」づくりは、両性の平等を保障した憲法24条――ジェンダー平等に逆行するものである。

 日本国憲法の平和、人権、民主主義などの進歩的諸原則の全面的蹂躙を絶対に許してはならない。

(3)

 日本共産党は、綱領に明記しているように、「現行憲法の前文をふくむ全条項を守り、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」という立場を貫く。

 とりわけ憲法9条を生かした平和外交に力をつくすことは急務である。

 大軍拡の推進者は、「抑止力の向上」を口実にしている。しかし、「抑止」の本質は、相手に対する威嚇であり恐怖である。それは「軍事対軍事」の悪循環――「安全保障のジレンマ」をもたらす。そして、そうした悪循環の果てに「抑止」が破れた時には、破局的な大災厄をもたらすことになる。「抑止力による平和」は幻想である。

 いま政治がとりくむべきは、戦争の準備でなく、平和の準備――9条を生かした外交によって日本の平和を確保し、東アジアに平和をつくりだすことである。

 日本共産党は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と協力し、東アジアサミット(EAS)を発展させて、東アジアの全体を東南アジアのような戦争の心配のない平和の地域にしていく「外交ビジョン」を提唱し、内外で実現のために力をつくしてきた。

 日中両国関係を前向きに打開するための「提言」を両国政府に提起し、2008年の日中共同声明に明記された「双方は互いに脅威とならない」など、すでに両国政府間に存在する「共通の土台」に着目して、平和と友好の関係をつくることを訴えてきた。

 これらの日本共産党の外交政策の根本にある考え方は、あらゆる紛争問題を国連憲章にしたがって平和的な話し合いで解決すること、地域のあれこれの国を排除するのでなく、あらゆる国を包摂した平和の枠組みをつくり、強化していくことにある。

 紛争の平和的解決、排除の論理でなく包摂の論理を――この方向こそが、憲法9条を生かした未来ある平和の道である。

 党創立いらい101年、どんな困難なもとでも反戦平和を貫いてきた党として、その実現のために、あらゆる知恵と力をつくすことを憲法記念日にあたって表明する。

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