【提言】感染拡大の「第3波」到来を直視し、「検査・保護・追跡」の抜本的強化を 日本共産党志位委員長

【提言】感染拡大の「第3波」到来を直視し、「検査・保護・追跡」の抜本的強化を 日本共産党志位委員長

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 日本共産党の志位和夫委員長は11月12日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が急増している事態を受け、政府に緊急な対応を求める提言を発表しました。提言の全文は次の通りです。

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感染拡大の「第3波」到来を直視し、「検査・保護・追跡」の抜本的強化を

2020年11月12日 日本共産党


 全国各地で新型コロナウイルスの感染者が急増し、新規陽性者数が1000人を超える日がたびたびあるなど、春の「第1波」、7~8月の「第2波」に続く、「第3波」の感染拡大が起こっている。

 東京都の新規陽性者数は連日200人以上で高止まりし、12日には400人に迫った。感染の急拡大が見られる北海道、大阪、愛知、神奈川、埼玉の5道府県の新規陽性者数は、10月末から急増し、「第2波」のピーク時を超える水準になっている(グラフ①)。

【グラフ】地域別の新規陽性者数の推移

 菅首相は10日、感染拡大への「最大限の警戒感」を呼びかけ、新型コロナウイルス感染症対策分科会から「緊急提言」が出された。しかし、その内容は、クラスターになりやすい業界・集団における事前の連絡網づくりや、国民に対するさらなる行動変容の呼びかけなど、従来の対策の延長線上にとどまっている。

 陽性者を見つけだすためのPCR検査も、これだけの感染の急拡大が起こりながら、その数は、8月のピーク時(1週間平均=2・6万件)を下回ったまま横ばいで推移している(グラフ②)。これでは、感染の封じ込めなど到底できない。

【グラフ】全国におけるコロナ検査件数と要請班定数の推移

 現在、わが国がすでに感染拡大の「第3波」に見舞われているという現実を直視し、感染の爆発的拡大を抑止するために、以下の諸点での緊急の対応を強く求める。

1、「大規模・地域集中的検査」「社会的検査」を、政府の大方針にすえ、推進を

 政府は、「今までよりも踏み込んだクラスター対応」として、「飲食店」や「外国人コミュニティー」での事前の連絡網づくりや啓発の促進を強調している。

 しかし、感染拡大を抑止するには「クラスター対策」――「点と線」での対策にとどまらず、感染急増地(ホットスポット)となるリスクのあるところに対して無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」が必要である。

 また、医療機関、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校、学童クラブなど、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等に、定期的な「社会的検査」を行い、感染拡大を事前に防いでいくことが求められる。

 政府も、8月の「今後の取組」で、感染状況を踏まえた「地域の関係者への幅広い検査」、高齢者施設等への「一斉・定期的な検査」を打ち出した。さらに11月10日のコロナ対策本部会議に提出された資料では「新宿区歌舞伎町においては、大規模・地域集中的なPCR検査を実施したことにより、陽性者数が減少したことが統計的分析で明らかになっ(た)」とその効果を認めている。ならば「大規模・地域集中的なPCR検査」「病院・介護施設等への社会的検査」を政府の大方針にすえ、責任をもって強力に推進すべきである。

 この点で、現状の大きな問題点は、“現場任せ”になっていることである。一部自治体の努力はあるものの、取り組み全体は、感染拡大の現実にまったく追いついていない。

 行政検査を増やすと自治体の持ち出しとなるという検査の地方負担問題を、“全額国庫負担による検査”の仕組みをつくることなどで速やかに解消する必要がある。自治体が「お金がないから検査できない」という事態を速やかになくし、“現場任せ”でなく、政府が自ら先頭に立って「面の検査」「社会的検査」を推進することを強く求める。

2、感染追跡を専門に行うトレーサーを確保し、保健所の体制を抜本的に強化する

 現在の急激な感染拡大に対応し、陽性者を着実に把握・保護していくためには、感染追跡を専門に行うトレーサーが不可欠である。この間、欧米で感染の再拡大が起こっている要因の一つに、陽性者の追跡(コンタクトトレーシング)が十分にできていないことが指摘されていることを考えても、トレーサーの確保は急務である。

 ところが、政府対策本部の資料によれば、保健所を応援する人材として確保されている数は、全国で600人に満たない。国の責任で緊急に人員の養成・確保を図ることを強く求める。

 「検査・保護・追跡」を一体に推進してこそ、感染拡大が抑止できることを、強調しなければならない。

3、「医療崩壊」を絶対に起こさないために、医療機関の減収補てん、宿泊療養施設の確保を

 各地で感染者が急増するなかで、すでに、病床の逼迫(ひっぱく)や宿泊療養施設の不足が起こり始めている。

 菅首相は「医療機関の支援のため、3兆円の予算を投入した」というが、実際に医療現場に届いたのは計上された予算の1割程度でしかない。政府が決めた支援をすぐに現場に届けることが必要である。

 「減収補てんはしない」という姿勢をあらため、地域医療を支えるすべての病院・診療所に減収補てんを行い、医療体制を全力で守ることを強く求める。

 感染防護具や医療用器材を国の責任で現場に届けること、自治体が必要な宿泊療養施設を確保できるよう予算の緊急的な追加を行うことも、必要である。

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