【申し入れ】新型コロナ対策にかんする緊急申し入れ 志位和夫委員長

【申し入れ】新型コロナ対策にかんする緊急申し入れ 志位和夫委員長

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 日本共産党の志位和夫委員長は7月29日、安倍晋三首相に対し、新型コロナウイルス感染症の急拡大を抑止するためにPCR等検査を大規模に拡充することなどを求める緊急の申し入れを行いました。志位氏が西村康稔経済再生担当相と会談し、首相への申し入れの内容を伝えました。会談には、田村智子政策委員長が同席しました。

 以下、緊急申し入れの全文と資料です。

***

内閣総理大臣 安倍晋三 殿
2020年7月28日 日本共産党幹部会委員長  志位和夫

新型コロナ対策にかんする緊急申し入れ

 新型コロナウイルスの感染急拡大は、きわめて憂慮すべき事態となっている。感染の急激な拡大が、医療の逼迫、さらに医療崩壊を引き起こし、救える命が失われることが、強く懸念される。

 にもかかわらず政府が、感染拡大抑止のための実効ある方策を打ち出さず、反対に感染拡大を加速させる危険をもつ「GoToトラベル」の実施を強行するなどの姿勢をとっていることは、重大である。

 現在の感染急拡大を抑止するには、PCR等検査を文字通り大規模に実施し、陽性者を隔離・保護するとりくみを行う以外にない。

 この立場から、以下、緊急に申し入れる。

一、感染震源地(エピセンター)を明確にし、その地域の住民、事業所の在勤者の全体に対して、PCR等検査を実施すること。

 現在の感染拡大は、全国でいくつかの感染震源地(エピセンター)――感染者・とくに無症状の感染者が集まり、感染が持続的に集積する地域が形成され、そこから感染が広がることによって起こっていると考えられる。

 たとえば、東京都では、新宿区は、感染者数、陽性率ともに抜きんでて高くなっており、区内に感染震源地が存在することを示している。東京の他の一連の区、大阪市、名古屋市、福岡市、さいたま市などにも感染震源地の広がりが危惧される。

 政府として、全国の感染状況を分析し、感染震源地を明確にし、そこに検査能力を集中的に投入して、大規模で網羅的な検査を行い、感染拡大を抑止するべきである。

 これらの大規模で網羅的な検査を行う目的は、診断目的でなく防疫目的であること、すなわち無症状者を含めて「感染力」のある人を見つけ出して隔離・保護し、感染拡大を抑止し、安全・安心の社会基盤をつくることにあることを明確にしてとりくむ。

 

二、地域ごとの感染状態がどうなっているのかの情報を、住民に開示すること。

 たとえば、東京都では、新規感染者数とともに、検査数、陽性率を何らかの形で明らかにしている自治体は、14区市(新宿区、中野区、千代田区、大田区、世田谷区、足立区、台東区、墨田区、中央区、北区、品川区、杉並区、八王子市、町田市)にとどまっており、他の自治体では検査数、陽性率が明らかにされていない。

 全国をみても、20の政令市のすべてで、市内の地域ごとの検査数、陽性率が明らかにされていない。これではどこが感染震源地なのかを、住民が知ることができない。

 ニューヨークなどでは、地域ごとの感染状態が細かくわかる「感染マップ」を作成し、明らかにしている。

 感染状態の情報開示は、あらゆる感染対策の土台となるものである。

 

三、医療機関、介護施設、福祉施設、保育園・幼稚園、学校など、集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員、出入り業者への定期的なPCR等検査を行うこと。必要におうじて、施設利用者全体を対象にした検査を行うこと。

 感染拡大にともなって、これらの施設の集団感染が全国で発生しており、それを防止することは急務である。

 

四、検査によって明らかになった陽性者を、隔離・保護・治療する体制を、緊急につくりあげること。

 無症状・軽症の陽性者を隔離・保護するための宿泊療養施設の確保を緊急に行う。自宅待機を余儀なくされる場合には、生活物資を届け、体調管理を行う体制をつくる。

 中等症・重症のコロナ患者を受け入れる病床の確保を行う。新型コロナの影響による医療機関の減収補償は急務である。減収によって、医療従事者の待遇が悪化するなどは絶対に許されない。医療従事者の処遇改善、危険手当の支給、心身のケアのために、思い切った財政的支援を政府の責任で行うことを強く求める。

 もはや一刻も猶予はならない。日本のPCR検査の人口比での実施数は、世界で159位であり、この異常な遅れは、どんな言い訳も通用するものではない。政府が、自治体、大学、研究機関、民間の検査会社など、あらゆる検査能力を総動員し、すみやかに行動することを強く求める。

 


【2020年7月28日 会見資料】

感染者の急増が見られる主な地域の陽性率
<東京都>

〇東京都  : 6・5%(7/21時点)

  •  新宿区  :32・2%(7/ 6~12)
  •  中野区  :14・9%(7/13~18)
  •  世田谷区 :13・7%(7/17~23)
  •  千代田区 :12・7%(7/13~19)
  •  足立区  : 9・6%(7/15~21)
  •  台東区  : 9・5%(7/13~19)
  •  墨田区  : 9・4%(7/21時点)
  •  中央区  : 9・2%(7/12~18)
  •  北区   : 8・6%(7/11~17)
  •  品川区  : 7・1%(7/ 1~17)
  •  大田区  : 4・8%(7/13~19)
  •  杉並区  : 4・5%(7/13~19)
  •  八王子市 :11・3%(7/13~19)
  •  町田市  : 2・5%(7/14~20)

(注)上記14区市は、陽性率を何らかの形で明らかにしている自治体。

(出典)東京都、足立区、墨田区、品川区、杉並区は、自治体HPに掲載された「陽性率」を転記。新宿区は、中曽根平和研究所の高橋義明・主任研究員の論考より。中野区は、区HPの「感染症発生動向調査集計結果・令和2年 第28週分」に掲載された「陽性者数」「検査数」から計算。世田谷区、千代田区、台東区、中央区、北区、大田区、八王子市、町田市は、自治体HPに掲載された「陽性者数」「検査数」から計算。

<埼玉県・さいたま市>
  •  埼玉県   : 3・7%(7/26時点)
  •  さいたま市 : 6・3%(7/26時点)

(出典)埼玉県・さいたま市ともに、自治体HPに掲載された「陽性率」を転記。

<神奈川県・横浜市・川崎市>
  •  神奈川県  : 3・6%(7/27時点)
  •  横浜市   : 3・7%(7/13~19)
  •  川崎市   : 4・2%(7/13~19)

(出典)神奈川県、横浜市、川崎市ともに、自治体HPに掲載された「陽性率」を転記。

<千葉県・千葉市>
  •  千葉県   : 5・1%(7/25時点)
  •  千葉市   : 5・2%(7/27時点)

(出典)千葉県、千葉市ともに、自治体HPに掲載された「陽性率」を転記

<愛知県・名古屋市>
  •  愛知県   :11・2%(7/20~26)
  •  名古屋市  :「算出中」(7/27時点)

(出典)愛知県は、県HPに掲載された「陽性者数」「検査数」から計算。名古屋市は、市HPより転記。

<大阪府・大阪市・堺市>
  •  大阪府   : 9・4%(7/27時点)
  •  大阪市   : 9・9%(7/22時点)
  •  堺市    : 6・2%(7/26時点)

(出典)大阪府、大阪市、堺市ともに、自治体HPに掲載された「陽性率」を転記。

<福岡県・福岡市・北九州市>
  •  福岡県   : 6・5%(7/20~26)
  •  福岡市   :10・4%(7/20~26)
  •  北九州市  : 2・2%(7/27時点)

(出典)福岡県、北九州市は自治体HPに掲載された「陽性率」を転記。福岡市は、市HPに掲載された「陽性者数」「検査数」から計算。

 

【備考①】検査数・陽性率を公表していない東京都特別区(11区)の状況
〇感染者数・患者数のみHPに掲載……練馬区、豊島区、港区、渋谷区、江東区、江戸川区、葛飾区
〇東京都HPのリンクを添付……目黒区、文京区、荒川区

【備考②】政令市(20市)における地域ごとの感染者数・検査数・陽性率の公表について
〇地域ごとの検査数・陽性率を公表している市はない。
〇横浜市、千葉市は、行政区ごとの感染者数を公表。
〇静岡市、福岡市、北九州市、熊本市は、感染者の属性欄に居住区を記載。
〇上記以外の政令市は、地域ごとの感染者数の発表もない。

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