核軍縮討論会 日本共産党志位和夫委員長の発言

核軍縮討論会 日本共産党志位和夫委員長の発言

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 2月12日に行われた核兵器禁止条約と日本の核軍縮政策に関する討論会(主催・核兵器廃絶日本NGO連絡会)での、日本共産党の志位和夫委員長の発言は次の通りです。

核軍縮討論会 志位委員長の発言

冒頭発言
 

日本共産党は、核兵器禁止条約の発効を心から歓迎します。日本政府が、速やかに、条約を署名・批准することを求めます。

 日本政府が条約に参加するうえでのいくつかの論点について、私たちの考えをのべたいと思います。

核抑止とは核使用を前提にした議論――被爆国政府が許されるか

 一つは、核抑止についてです。核兵器禁止条約は、米国の核抑止力の「正当性を損なう」。これが日本政府の条約に参加しない言い分です。

 しかし、そもそも核抑止とは何か。それは、いざという時には核兵器を使用するということを前提とした議論です。よりはっきり言えば、「いざという時には核兵器を使い、広島・長崎のような非人道的惨禍を繰り返すことをためらわない」ということです。核兵器の非人道性を身をもって体験した被爆国の日本の政府が、こうした立場をとることが許されるでしょうか。

 日本政府は、核抑止力に依存する理由として、日本をとりまく安全保障環境をあげています。もとより北朝鮮の核開発は止めなければなりません。しかし、北朝鮮が核開発を進める論理も、同じ核抑止なのです。同じ論理に立っていては、北朝鮮に「核を放棄せよ」と言っても、迫力を欠くことになるのではないでしょうか。核兵器禁止条約に参加し、「われわれは核依存の政策を放棄する。だからあなたも放棄しなさい」と北朝鮮に迫ることこそ、最も強い論理になるのではないでしょうか。

日米安保条約への立場の違いこえ、核兵器禁止条約の署名・批准の一点で協力を

 もう1点、日米安保条約と核兵器禁止条約の関係について、私たちの見解を述べておきたいと思います。

 日本共産党は、国民多数の合意で日米安保条約を廃棄することを党の大方針に掲げていますが、安保条約のもとでも禁止条約に参加することはできるということを強調したいと思います。日米安保条約には「核兵器」という言葉は一言も書いてないわけですから。

 核兵器の使用や威嚇を「援助、奨励、勧誘」しないなどの禁止条約の義務を履行しさえすれば、軍事同盟のもとでも禁止条約に参加することは可能です。実際、ベルギー、スペイン、オーストラリアなど、米国の軍事同盟国のなかから、核兵器禁止条約を前向きに受け止め、参加などを模索する動きが起こっています。

 私たちは、日米安保条約を肯定する人たちとも、核兵器禁止条約に署名・批准する、この一点で協力していきたい。これがわが党の立場です。

NPT再検討会議――核保有国にこれまでの誓約の履行、さらに前進を求める

 最後に、今年開催される核不拡散条約(NPT)再検討会議の問題です。この会議は、核保有国も含め、世界のほとんどすべての国が一堂に会する重要な会議になります。

 2000年のNPT再検討会議では、核保有国に「自国核兵器の完全廃絶」を約束させた最終文書を全会一致で採択しています。

 2010年のNPT再検討会議では、「核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別の取り組みをおこなう」。これが全会一致で最終文書に盛り込まれました。これが核兵器禁止条約につながっていくわけです。

 私たちは、NPT再検討会議にあたって、核保有国に対し、これまでの誓約を誠実に履行し、その上にさらに前進することを強く求めていきたいと思っています。

第2発言

核兵器の非人道性の批判と、核抑止への依存は両立しうるか

 今日の討論では核抑止という問題が大きな焦点になりました。この問題を考えるうえで、核兵器の非人道性を批判することと、核抑止に頼ること、これが両立しうるのかという、いちばんの根本問題を考える必要があると思うんです。

 核兵器の非人道性の批判は、日本政府もやっています。今日ご参加のすべてのみなさんも、核兵器は非人道的なものだという批判をもっていらっしゃる。これは一致していると思うんですね。

 それでは、(そのことと)核抑止という考え方と両立するのか。

 私が、印象深く覚えているのが、アメリカの国務長官を務めたジョージ・シュルツ氏がこういった。「核抑止というのは、いざというときに(核兵器を)使えなければ抑止にならない。それでは、何十万、何百万人の市民がいるところに核兵器を落とせるか。文明国の指導者だったらそんなことはできない。落とせないのだったら抑止にならない」と。これは本質的な核抑止論の批判だと思います。

 ですから私は、核兵器の非人道性を批判するのであれば、やはり核抑止から抜け出す必要があります。

核抑止論から、日本は被爆国として決別することが必要

 核兵器禁止条約というのは、もともと核兵器の非人道性の告発から出発して核兵器を禁止する、ここに行きついた。そういう論理構成になっているわけです。やはり、そこに踏み切る時期にきていると(思います)。核抑止論から、日本は被爆国として決別することが必要だと、私は強く訴えたいと思います。

 核兵器の非人道性(の批判)、これはみんなが共通しているわけですから、ならば核抑止から抜け出す必要があるのではないか。

野党は、核兵器禁止条約への署名・批准を共通公約とし、新しい政権で実行を

 野党は、核兵器禁止条約への署名・批准を、共通公約として選挙をたたかい、選挙に勝って新しい政権をつくって、その政権が(条約に)署名・批准すれば、世界にどれだけプラスのインパクトを与えるか。こういうふうに思います。ぜひ、それを実現すべくがんばっていこうということを訴えたいと思います。

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